金子達さんの朗読劇「百万年の後悔」

 ヤマギシの元村人の俳優・金子達さんが、先週、案内所を訪れ「朗読劇をやるから、もし、時間があったら来てよ。」と誘ってくれてチラシを置いていった。

◇金子さんは、昨年春には、核の恐ろしさを描いたイギリスの絵本「風が吹くとき」を劇場演劇にプロデュースし、池袋の劇場で自らが演じた俳優だ。
 今回は、原発事故以降に話題になっている原子力発電所の現場で20年間働いていた1級プラント配管技能士の平井憲夫さん(1997年に逝去)が書いた「原発がどんなものか知ってほしい」という文章をもとにした一人芝居を演じて全国を巡ろうと計画している。
 その一人芝居の方は、まだ準備が整わないので、先ずは「朗読劇」としてスタートするようだ。
 先日も「いま、これをやらないと、人生に悔いが残ると思って・・」と熱く語っていた。

◇「朗読劇」の会場は西武新宿線田無駅から歩いて約10分。3時開演というので、案内所を2時過ぎに出かけた。会場には、5分前に到着。約25人ほどの観客と思って席に着いたら開演時には約40人ほどになっていた。
        
                 

 原作となった平井憲夫さんの文章も読んでいるし、案内所の研鑽会室で本読み稽古で一度聞いていたので内容は知っていたが、金子さんの熱い思いの演技は十分に伝わってきた。
 原発に携わっている人(原発現場の労働者も含めて)の多くが、原子力放射能、さらには原発そのものの構造的なものも含めて、いかに無知であるか。その状態で施工し運転されているかの警告を、福島原発事故以前から平井さんは指摘していた。
 しかし、福島原発事故が起こって、一躍それが脚光を浴びたというのが皮肉であるし悲しむべきことだ。
 そんな意味では、いかに僕たちの「無関心」という行為が、結果的に事故誘発に加担した側面を持っているかを、僕たちは謙虚に受け止めなければならないと思う。

◇金子さんは、時々TVなどの脇役では見かけるが、有名な名の通った俳優ではない。今年で65歳。役者をやりながらの郵便局アルバイトも、今年は高齢で再契約されなかったらしい。そんな中で生活費を切り詰めながらも、社会に訴えようとする金子さんの熱意。その生き方に応援したい。