NHK・ETV特集「なぜ希望は消えた?」を見て考える

 昨夜NHK教育テレビで放送されたETV特集をビデオに録画していたのを、今日、時間があったので見た。
 今回の特集は農業の問題である。
 題して「なぜ希望は消えた? あるコメ農家と霞ヶ関の半世紀」である。
 力強い農業を目指して制定された農業基本法。それに基づき実施された数々の農業政策。その政策のねらいははずれ、衰退をくい止める事が出来ないでいる日本の農業をテーマにした番組だった。
 思惑が外れながらも、その改善の方法を見いだせずに繰り返された政策。農民の心情を知らずに農政を担当した元官僚の証言に空しさを感じ、出された政策に希望を託して順応し、農業に生きてきた農民たちに心が痛む。農家に生まれ、農業の厳しさを父母の姿に感じて育った自分としては、人ごとでないテーマだった。
 今、こうして検証してみると、なるべくしてなった農業衰退の現状。コメ農家を50年続けたという農人は「農家にとって減反政策はボクシングにたとえたらボディブローのようなものだった」と語る言葉に、日本の現状を無視した大規模個人農家育成政策の失敗が集約されていた。今後の農業政策を考える上では、繰り返してはいけないテーマが多く含まれていた番組だった。
 私たちは今、すべての事について、座標軸を180度転換して見直さなければならない時期にきていると、私は最近感じている。農業についても、今後、どんな座標軸を据えて考えるか、大きなテーマであると思う。