昨日の日曜日は、一日中、冷たい雨。
ファーム町田店のスタッフには、朝の開店準備に入っただけで、お客さんも少ないので、午後からは、ノンビリと部屋で過ごす。
近くの市民センターの図書館も、車で15分ほどのところにある自由民権資料館も、新型コロナウイルス感染予防対策で閉館中だったので、部屋での読書時間とした。
読んだ本は、少し前にブックオフで買って、読むタイミングを逃していた米澤穂信さんの『 Iの悲劇 』という本。
著者の米澤穂信さんの作品は、僕はまだ読んだことがない。
「 I 」って何だろうと思って手に取ってみたら、「 I ターン 」のことで、限界集落のことをテーマにした物語と知って買った本だ。
この本は、住人のいなくなってしまった山間の、小さな限界集落を舞台にした連作短編集である。
そこに移住者を募り、集落を再生しようと作られたのが「 Iターン支援推進プロジェクト 」。それを業務とするのは、市町村合併後に市役所から格下げになった出張所にある甦り課。
甦り課には、人当たりがよく、現代若者そのものの新人の女性と、出世コースから外れたのではないかと思いながらも、移住者の相談に誠意をもって対応する公務員らしい公務員の主人公。その上司は仕事をしない定時退社の課長がいる。
この3人が、日々舞い込んでくる移住者たちのトラブルに、右往左往しながら対応するのだか、トラブル解決と同時に次々と転出して、結局、移住者は長続きしないで、再び、誰もいなくなってしまう。
ミステリーを含んだトラブル顛末の、そんな悲劇の物語のなのかと思って読み進めたら、とんでもないどんでん返し。
甦り課の存在は、限界集落を再生させるためと働いていたが、実は、真逆の目的に変わっていたという結末。
なんとも、悲しい結末に、主人公のやるせなさが、読後のひととき、心に残る物語だった。