恩田陸著『 蜜蜂と遠雷 』を再度読む

 現在、公開中の映画『 蜜蜂と遠雷が話題になっている。

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 原作の恩田陸さんの小説『 蜜蜂と遠雷は、一昨年、本屋大賞直木賞のダブル受賞で話題になったものだ。
 僕は、その時、読んでいる。
 国際音楽コンクールをテーマにした物語で、読み始めたら、音楽、特にクラシックの世界に疎い僕でも、十分すぎるほどワクワクしながら、物語に引き込まれ感動したのを覚えている。
 あの物語が、どんな映画になって公開されているのだろうと興味津々。
 そんなことで、もう一度、映画を観る前に、原作の『 蜜蜂と遠雷 』を読んでみようと思った。

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 一昨年に読んで、忘れていることもあったにしても、2度目とは思えないほど、またまた恩田睦さんの音楽の世界を文章化した筆力と、物語の展開に、引き込まれてしまった。
 読みながら、このように、音楽を奏でる人と聴く人の心理描写を、どの様な映像で再現してくれるのだろうかと、ますます興味が湧く。

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 天才少女でありながら、母の死を契機に長らくピアノを弾く目的が見つけられなかった栄伝亜夜20歳。(映画では松岡茉優が主演)
 その栄伝亜夜と幼なじみで、このコンクールで偶然再会し、正統派の演奏技術で優勝候補と目されるマサル19歳。(映画では森崎ウィン
 社会人として妻子もいて、コンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。(映画では松坂桃李
 養蜂家の父のもとで移動生活をしながら、自分のピアノを持たない少年・風間塵16歳。(映画では新人・鈴鹿央士)
 この4人も含めて、世界から集まった天才ピアニスト達が、芳ヶ江国際ピアノコンクールを舞台に、第1次から2次、3次の予選、そして優勝を目指して本選のステージで、互いに刺激し合い、切磋琢磨して、より深い音の世界の演奏を繰り広げる。


 映画では、メイン4人の演奏には、いずれも世界的にも一流若手の人気ピアニストたちがついたという。

 1週間前の朝日新聞の「文化・文芸欄」にも、原作者の恩田睦さんと、コンクールの課題曲となった宮澤賢治の詩から着想した春と修羅を、この映画のために作曲した藤倉大さんが対談していた。

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 この中で、

 恩田「私も絶対に小説でしか書けないことを、と思って書きました。だから、映像化されるって聞いた時は、無理って思った。」
 藤倉「どうして?」
 恩田「だって、ほとんどが心理描写じゃないですか。小説だからこそ、読む人それぞれが思い思いのイメージを自分のなかで鳴らすことができるわけで。ビジュアルになるとイメージが固定化されてしまうんじゃないかと・・・。」
 藤倉「僕ね、映画会社との最初のミーティングの時、脚本ができる前に曲を書かせてくださいってお願いしたんです。映像も音楽も、原作からのインスピレーションをそれぞれのジャンルで形にすることを徹底できれば、ブレることがないと思ったから。」

 と述べている。

 

 さあ、どんな映像表現で蜜蜂と遠雷を観ることができるか、楽しみである。