『 中国が世界を動かした「1968」』を読む

 埼玉県のヤマギシの村のヤマモトさんが「モンゴルのことが書かれてあるので取り寄せて読んでみたけど・・・」と言って貸してくれたのが、藤原書店が刊行した『 中国が世界を動かした「1968」』という本。

     f:id:naozi:20190522170004j:plain

 この本は、静岡大学人文社会科学部アジア研究センターと、学習院女子大学国際学研究所が合同で昨年7月に開催した国際シンポジウムで発表された内容をまとめたものだった。

 

 編者の楊海英(よう・かいえい)氏は、南モンゴル(現・中国領内モンゴル自治区)出身の静岡大学の教授。
 書籍の内容紹介には、次の様に書かれている。
---
“革命"は、中国から世界に広がった。
震源地としての文化大革命(1966-1976)。
ベトナム反戦運動、フランス五月革命プラハの春、日本の学生運動、そして中国の文化大革命……文革の実情は世界に知られていなかったが、“文革"は世界の1968年に影響を与えた。半世紀を経た今、“世界史における1968年"と文革を考察する。
---


 このように、中国で起こった文化大革命が、世界に影響したことを明らかにしようとした内容なのだが、
 第Ⅰ部では「中国の文化大革命と題して、毛沢東の指導の下で起こされた文化大革命とは、いったいどの様な運動であったのか、それは、その後、世界各地で起こった左翼運動にどう影響したのか、中国がこの文化大革命を世界革命として位置づけ、世界に向けて発信する行動の必然性などを考察している。
 第Ⅱ部では「世界革命」と題して、内モンゴルにおいてモンゴル民族に対して文化大革命中に行った中国政府の大量虐殺を含めた施策を明らかにし、西ドイツにおける毛沢東主義の左翼運動への影響、さらにアメリカでの左翼運動への影響などの実態を具体的にあげて、文化大革命が同時代に起こった革命運動の震源地であったのではないかと考察している。

 

 中国の文化大革命、あるいは、毛沢東についての書籍も数多くはないが何冊かは読んだことがあるが、改めて、このように世界の革命運動(左翼運動)に影響していたのかと、僕としてはちょっと驚く内容だった。
 また、モンゴル民族に対しての大量虐殺、残虐な拷問など、その歴史的負の事実にも驚く内容だった。
 そして、最後まで読み終わって、現在、習近平国家主席が提唱・推進している中国外交の世界戦略「一帯一路構想」にも繋がるものを感じたのは、僕の下衆の勘繰り的なものからだろうか。