今日は3月11日、東日本大震災8年

 今日は、3月11日だ。
 新聞やTVで「東日本大震災8年」の特集が報じられている。
 「もう、8年か」と思うのだが、避難されている方は、現在でも約5万人を超えている。


 先日、福島県双葉町の長年続けられていた盆踊りにスポットをあてたドキュメンタリー映画『盆唄』を観たけれど、まだまだ、帰宅困難地域となって、ふるさとを奪われ続けている人々がいる。
 映画を観て、僕の心の中で風化されつつあったあの大震災が、改めて蘇った。

 

 僕の本棚に、1冊の本が保管されている。
 復元納棺師の笹原留似子さんが書かれた『おもかげ復元師の震災絵日記』である。

 この本は2012年に読んだのだが、その時同時に、僕は笹原さんのエッセイ集の『おもかげ復元師』も読んだ。
 今日は、この本2冊を、改めて紹介したい。
 
◇『おもかげ復元師の震災絵日記』と『おもかげ復元師』

       
 映画『おくりびと』で納棺師という職業は知られるようになったが、笹原さんは日本で数少ない復元納棺師なのだ。
 笹原さんは、岩手県北上市で納棺や復元納棺の会社を経営している。
 その技術、損傷の激しい遺体でも生前の表情に復元する技術を、あの震災、津波で亡くなった人達の復元に、ボランティアで取り組んだ。
 その活動を綴ったノンフィクション書籍なのである。
 内容的にも凄い活動を笹原さんはされたのだと思い知らされるし、綴られている「復元納棺師」としての、あの大震災後の日々のエピソード一つ一つに、心を揺り動かされる。
 笹原さんの、その時その時のドラマ、遺族を気づかう心、死者と遺族への深い深い思いやり。

 絵日記には復元した顔のスケッチと、その時に湧きあがった言葉。

 どこまでも、どこまでも、被災された人々に寄り添って・・・。

 そんな笹原さんの活動に、ぜひ、この書籍で触れて欲しいと思う。
 震災以降、多くの震災関連の本が出たし、何冊かは目を通したし、震災の一端に触れた読後を持ったが、この著書2冊は、また別の視点から震災の現実を知り得る本である。
 一言で「こんな凄いことを日々やり続けた人がいるんだな」ではすまされない、何かを教えてくれる復元納棺師・笹原留似子さんの著書2冊。多くの人に、一読をお薦めしたい。