今日は3月11日、東日本大震災10年

 今日は、3月11日だ。
 東日本大震災、もう、あれから10年か」と思うのだが、避難されている方は、現在でも、なお4万人を超えているという。

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 ここ数日、テレビや新聞は東日本大震災福島原発事故と、その後についての特集を、いろいろな角度から検証し取り上げている。
 昨夜は、NHKETV特集原発事故“最悪のシナリオ”〜そのとき誰が命を懸けるのか〜』の再放送番組を観た。原発事故発生直後から、官邸や米軍、自衛隊などが、それぞれ極秘裏に「最悪のシナリオ」の作成に着手していたというその内容で、改めて10年前の実態を知った。

 

 10年前には、震災一週間後に、仙台の知人宅にワゴン車にヤマギシの生産物を積んで届けたことを思い出す。
 その食料を、近所の人に集まってもらって分けていた知人の姿。
 津波の被害を受けた海岸近くの若林区にも行ったが、車があちこちに「✖」印が付いて無残な姿で放置されていた。知人が「あれが、車内に被災した人がいた印だよ」と教えてくれて、僕は言葉が出なかった記憶がある。

 

 今朝、ロビーで新聞を見ながら何人かで、「地震の時、どこにいた?」と話題になったり、計画停電の話になったりしたが、10年という時の流れに、僕自身の記憶と意識の風化は否定できない。

 

 そんな意識の風化に鞭打つ意味もあって、僕は毎年、本棚から手に取ってページをめくる本が2冊ある。
 復元納棺師の笹原留似子さんが書かれた『おもかげ復元師』と『おもかげ復元師の震災絵日記』である。

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 震災以降、多くの震災関連の本が出たし、何冊かは目を通したが、この著書2冊は、また別の視点から震災の実態を知り得る本である。
 映画『おくりびと』で納棺師という職業は知られるようになったが、笹原さんは日本で数少ない復元納棺師なのだ。
 笹原さんは、岩手県北上市で納棺や復元納棺の会社を経営している。
 その技術、損傷の激しい遺体でも生前の表情に復元する技術を、あの震災、津波で亡くなった人達の復元に、ボランティアで取り組んだ。
 その活動を綴ったノンフィクション書籍なのである。
 凄い活動を笹原さんはされたのだと思い知らされるし、綴られている「復元納棺師」としての、あの大震災後の日々のエピソード一つ一つに、心を揺り動かされる。
 笹原さんの、その時その時のドラマ、遺族を気づかう心、死者と遺族への深い深い思いやり。

 死とは何か。今、生きているとは何か。そんなことを考えさせられる。
 ぱらぱらとめくっていると、10年前に読んだ時の感動が、再び蘇ってくる。
 
『おもかげ復元師の震災絵日記』には、亡くなった人の復元スケッチ絵と一緒に、その時の笹原さんが感じたことを、亡くなった人への祈りも込めて、その様子が綴られている。

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      「寝ているみたい・・・」

      「起きて!!」

       お母さん

      子供さん達の声が

      聞こえますか?

 

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      「漬物 名人だった・・」
      「もう 食えねえんだな・・・」
      ご主人が ポツリ ポツリと
      お話し して下さる
      奥さまの思い出・・・。
      棺にすがって 泣く御主人の
      背中をきっと となりでさすってる。
      奥さま、きっとね。

 

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       「あいしてるよ・・・」

       奥さまの言葉

       御主人に届け・・・!!