映画『日日是好日』を観る

 夜、高田馬場の案内所からの帰宅途中、小田急線・新百合ヶ丘駅で途中下車して、先日亡くなった樹木希林さんが、最後に出演した映画『日日是好日』を観た。
    
 この映画が、樹木希林さんの遺作になってしまったのだが、それに相応しい、樹木希林さんにとっても、それを観る僕たちにとっても、これ以上のものはないだろうと思える映画だった。
 茶道を通して、「人が生きるとは、その中での幸せとは何か」を、静かに、静かに語りかける。
 四季折々の自然。夏の暑さ、冬の寒さを感じながら、雨の音に耳を傾け、風の音、虫の声、木々の葉っぱの一枚一枚に思いを巡らせながら、日々、淡々と過ぎていく生きる営みの中に、「日日是好日」の本質的な意味を感じさせてくれる。
 そして、お茶の先生役の樹木希林さんの次のような言葉が、ずしんと心に残る。
 「私、最近思うんですよ、毎年、こうして、同じことが出来るということが、幸せなんだなあって・・・」
 そんな、静かな感動を覚える映画だった。 
 もう一つ、付け加えるなら、樹木希林さんと師弟関係の役を演じている僕の好きな女優・黒木華の好演に、僕は拍手を贈りたい。