映画 『 羊と鋼の森 』 を観る

 今日の帰宅時に、2016年に本屋大賞を受賞した森下奈都の 『 羊と鋼の森 』 を原作とした同タイトルの映画 『 羊と鋼の森 』 を観た。
        
 山粼賢人が演じる主人公が、調律師になるキッカケとなった憧れのベテラン調律師を演じる三浦友和が、先週の東京新聞で「原作の大切な部分が生かされた脚本もとてもいいです。原作ファンの期待を裏切らないと思う。」と語っていたが、確かに、その期待を裏切ることのない映画だった。
         
 視覚表現が難しいと言われる音楽の世界を、視覚的に見事に映像化して、原作の小説でいただいた感動を、繊細なピアノの音と自然の情景(北海道の四季折々の美しさ、森の神秘さの映像)によって、さらに重層的に心震えさせられる作品となっている。
 さらに、原作の大切なテーマとしている若者の成長の一つひとつの日々の葛藤の部分を、忠実に脚本化して、物語が展開するのもいいし、それを、北海道の自然の神秘的ともいえる美しさを、静かに、大切にとらえたカメラアングルの映像の中で、丁寧に表現しているのがいい。
 それらが、心洗われる感動の作品を織りなしている。
 そんなことで、ぜひ、原作を読んだ後に、映画を観賞されることを僕はお薦めする。
 この映画に限って、原作となった作品の感動を裏切ることのない映画作品となっているのだから。
 さらに僕は、もう一度、機会があれば、この映画を観賞したいと思う。
 それは、原作の小説を二度読んだように。


 蛇足になるが、僕が四季折々の自然の神秘的な美しさの映像に感動した映画は、かなり以前の 『 阿弥陀堂だより 』 があるのだが、その時は奥信濃の自然だった。今回は北海道の厳しい自然、雄大な自然の美しさだ。その映像を観るだけでも、この映画鑑賞の価値はあるのではないかと思えるほどの作品だ。