いま、読み出した文庫本

 書店に立ち寄ったら、松岡圭祐の『 黄砂の進撃 』というタイトルの文庫本が目にとまった。
 以前に、『 黄砂の籠城 』というのを読んだ。
 その物語は、1900年(明治33年)の中国・清朝末期に起こった「義和団事件」という史実をもとに書かれたものだった。
 歴史は、どの視点から見るかによって異なる。
 『 黄砂の籠城 』では、日本側の視点で書かれていたが、この『 黄砂の進撃 』は、中国側の義和団の視点で描かれているらしい。
       
 作品説明にも、──清朝末期、満州人に辮髪を強要されていた漢人は、宣教師にも生活を蹂躙され不満は頂点に達していた。彼らは扶清滅洋の旗印のもと蜂起し、駐在武官・柴五郎らの立て籠もる北京公使館区域に攻め入る。中国近代化の萌芽となった「義和団の乱」の内幕を、義和団側から面白さ抜群に描ききる。事変を日本と連合軍側から描いた2017年の話題書『 黄砂の籠城 』と対をなし、どちらから読んでも面白い圧倒的歴史エンタテイメント!──とある。

 さてさて、どんな内容か、興味津々、読み出した。


◇参考までに
 昨年の4月に『 黄砂の籠城 』を読んだときに書いたブログから、その内容を転載しておく。
       
 北京の東交民巷(とうこうみんこう)という北京在外公館区域(南北822m、東西936m)に住む日本、ドイツ、アメリカ、フランス、イギリス、イタリア、ロシア、スペイン、ベルギー、オーストリアハンガリー、オランダの公使やその家族と、逃げ込んできた中国人キリスト教徒など合わせて925名が、「扶清滅洋(清朝を助けて西洋外国勢力を撃滅する)」などを旗印に外国人排斥を叫ぶ武装集団・義和団と、それを支持した当時の清国で実権を握っていた西太后の清国正規軍隊に包囲され、援軍到着までの2ヶ月に及ぶ籠城戦の末に、多くの犠牲者は出たものの守り抜いた物語だ。
 この籠城戦で、足並み揃わぬ列強11ヵ国を実質的に先導したのは、実在の人物で会津藩出身の陸軍中佐の柴五郎。