柚月裕子著『慈雨』を読む

 今日は、午前中は案内所で仕事をして、午後1時に埼玉県のヤマギシの村・岡部実顕地に向かう。
 夕方3時半から5時半まで、モンゴル実習生関連の研鑽会。
 9時過ぎに帰宅。


柚月裕子著『慈雨』を読む
 先日、友人のフリーライターのTさんが、「面白いから読んでみたら」と持ってきてくれた単行本6冊と文庫本1冊。
 先週は、本城雅人の『紙の城』を読んだので、先週末から2冊目の柚月裕子の『慈雨』を読んだ。
 この本は、新聞の書籍広告で見たときから、読んでみたいと思っていた本だった。
         
 内容は、
「警察官を定年退職した神場智則は、妻の香代子とお遍路の旅に出た。42年の警察官人生を振り返る旅の途中で、神場は幼女殺害事件の発生を知り、動揺する。16年前、自らも捜査に加わり、犯人逮捕に至った事件に酷似していたのだ。神場の心に深い傷と悔恨を残した、あの事件に―。元警察官が真実を追う、慟哭のミステリー。」(「BOOK」データベースより)

 このような内容なのだが、妻と2人で四国八十八ヵ所の巡礼の旅と平行して、退職した身だが元刑事という立場で、信頼できる優秀な元部下と元同僚との信頼関係で、幼女殺害事件の捜査に関わり、そして解決するという展開。
 しかし、この小説は、単に事件解決という物語で描かれたものではない。
 警察官時代は事件解決のために、家族を顧みることなく過ごした日々であったが、定年を迎えて、家族や周りの仲間との強い絆で結ばれていたことを知り、1人の警察官とし生きた矜持と、1人の人間としての生き様とを描いた物語になっている。
 最後の八十八番札所の結願寺に向かう夫婦に降り注ぐ雨は、読者をホッとさせる、本当にやさしくて、まさに慈雨だった。



◇新宿ルミネの広告
 岡部実顕地からの帰りに、新宿駅で目に留まったのが、新宿ルミネの広告ポスター。
 ルミネポスターに書かれているコピーに、僕はいつも感心させられる。
   「生まれた感情の数だけ、女は表情が生まれる。」