9月5日のおしゃべり 『初秋』

 9月に入っても、残暑厳しい陽射しだが、秋は確実に訪れ始めている。


◇秋の空・秋の雲
 今朝、6時過ぎに我が家の屋上に上がったら、空にも、そして、雲にも、秋の気配が漂っていた。
      
      
      
 これは、午後3時頃の高田馬場駅前から見上げた空。
      


◇道路端の花々にも秋を感じて
 今朝、案内所に出掛けるときに、いつもの乗車バス停を避けて、その先までバス停1つ歩いてみたら、こんな花を見つけた。
 この花々にも秋の気配を感じながらシャッターを切った。
 街路樹の根もとに群生していた「ツユクサ
      
 朝咲いた花が昼しぼむことが、朝露を連想させることから「露草」と名付けられたという。
 こちらは朝日を受けとめて輝く「芙蓉」
      
 この花も、朝咲いて夕方にはしぼむ1日花だ。花言葉は、「繊細の美」「しとやかな恋人」。


俵万智さんの秋の短歌(うた)
 俵万智さんの『かぜのてのひら』という歌集に、こんな短歌がある。


      やわらかな秋の陽ざしに奏でられ川は流れてゆくオルゴール


 初秋の夕暮れ時、川面に揺れ動く陽ざしの光と、頬をなでる柔らかな風と、そして飛び交う赤とんぼを追う僕の眼差し・・・。
 そんなイメージを僕は感じて、好きな秋の短歌(うた)の一つだ。


林芙美子の詩『秋』
 今日の東京新聞夕刊に、約90年前、同人誌に発表した林芙美子の『秋』という詩が見つかったという記事が載っていた。
          


        『秋』


     もう秋である
     落ちついていいはづの秋である

 
     郊外の祭の夜
     真紅な風船を買って来た私
     笑ふて下さいませ
     金パクの卯年の女は
     もいちど恋がしてみたいと思ひました。


     郊外の祭の夜


     カーバイトの青い灯の下で
     糸の脈を切って散乱する
     風船を見た私
     子供のやうに唇を真紅にそめて
     男の流れに泳ぎました
     そこで私は
     若くはづんでゐる風船を頬に当てて
     ペンを走らせたのです。


     可愛い貴方─
     どこか景色のいいところへ旅をしませんか、
     秋でこざ候
     たつた二人になりたく候。


 林芙美子の「放浪記」とも重なる情感あふれる作品だと紹介されていた。
 確かに・・・。