文庫・水上勉『桜守』を買う

 高田馬場駅前の書店には「今月の掘り出し本」というボックスコーナーがある。
 新刊ではないが、書店員がお勧めしたい本を数冊並べているようだ。
 今日の帰宅時によったら、そのコーナーに文庫本が5冊並んでいた。
 その中の一冊が、この水上勉の 『桜守』
           
 かなりかなり以前、僕が20歳代に読んで、感動し、記憶に残っている小説だ。
 手に取ってページをめくっていたら、もう一度読みたくなって買って帰った。
 一人の桜を愛した植木職人の一生涯をつづった小説なのだが、僕は桜の季節になって、きれいに咲き誇った桜を眺めていると、時々、この小説を思い出す。
 そして、この小説のモデルになった桜博士こと笹部新太郎が手がけたという、飛騨高山の奥の御母衣ダム建設時に移植した樹齢450年の桜の樹を見たくて、夜行バスで現地に行った記憶が蘇る。
 もう、東京の桜はとっくに散ってしまったが、じっくり味わいながら読み直そうと思う。
 また、この文庫の後半に一緒に収録されているのが、木造建築の伝統を守って生きた老宮大工の物語 『凩(こがらし) 宮大工倉持清右衛門の記』 だ。
 こちらも、どんな人物が描かれているのかと興味が湧く。楽しみだ。