『櫛挽道守』(くしひきちもり)という本を買う

 今朝、起きてテレビを点けたら「富士山が初冠雪」というニュースが流れていた。
 早速、生活館屋上に、日課にしている素振り用の木刀と、カメラをもって上がった。
 屋上から望める富士山は、ほんのちょっぴり頂上だけだが、確かに、冠雪を確認できた。
      


 昨日の帰宅途中で書店によって、木内昇著『櫛挽道守』(くしひきちもり)を買った。
             
 表装がいい。タイトルの『櫛挽道守』にぴったりだ。


◇この『櫛挽道守』という小説
 実は、前々から気になっていた本だった。
 題名の『櫛挽道守』といい、内容紹介には「一人の少女が櫛挽職人を目指す。周囲の無理解や時代の荒波に翻弄されながらも、ひたむきに、まっすぐに生きる姿を描き出す、感動の長編時代小説」とあったので、読んでみたいと思っていながら、ついつい手にする機会を逃していた。
 日曜日の新聞を読んでいたら、この木内昇著『櫛挽道守』が、中央公論文芸賞柴田錬三郎賞親鸞賞を受賞したという記事が目にとまった。
 「ああ、やっぱり読もう」と思って、昨日、書店に寄った。


◇『櫛挽道守』というタイトル
 この小説が刊行されたときの紹介記事で、「櫛挽き」と言うのだから櫛作り職人の話だとは思った。
 そして、このタイトル「くしひきちもり」と読んだときの語呂というか、響きがいいなあと思った。
 僕が20歳代の頃、水上勉の『桜守』という小説を読んで感動したことがある。
 この小説は、桜を守り育てることに情熱を傾けた庭師の物語なのだが、「こんな人がいたから桜が咲き続けているんだ」と感動して、飛騨高山の庄川にある御母衣ダムまで夜行バスを利用して、桜の樹を見に行ったことがある。
 小説の主人公のモデルとなった植木職人が、御母衣ダム建設に伴って湖底に沈む2本の樹齢400年以上の桜の木を、移植が難しいと言われながら、見事、ダム湖畔への移植に成功して咲いている姿を、どうしても見たい、その桜の樹に触れてみたいと思った。桜が咲く時期に、湖底になった場所に住んでいた村人たちが、その桜の樹の下に毎年一回集うと言われている。その場所に立って御母衣ダムの水面を見たいと思ったのだ。
 そんな記憶もあって、この『櫛挽道守』というタイトルを目にしたとき、一番最初に浮かんだのが『桜守』という小説だった。


◇読後の感想は後日
 昨日と今日の帰宅時の電車の中で、まだ数十ページしか読んでない。
 丁寧な、重みと深みの感じる文章で、あまり先を急がず、じっくり読まなければならないようだ。
 しかし、僕は、この『櫛挽道守』をワクワクしながらページをめくっている。