水曜日の夕方、機関紙「けんさん」の編集も一段落してホッとしていたら、それを知っていたのか、妻から「今晩、映画観ない?」と電話がある。
前々から高倉健主演の映画『あなたへ』を、観ようと誘われていたし、そのために、森沢明夫著の文庫『あなたへ』も読んでいた。
夜7時に、僕は新宿から、妻は町田から、小田急線の新百合ヶ丘で待ち合わせてワーナー・マイカル・シネマズ館へ。
平日で、それも夜の7時からということでだろうか、観客は予想外に少なかった。
観ての感想は、各場面の風景映像はきれいだったが、内容的には、僕は「う〜む・・ちょっと期待外れ」って感じ。
小説を事前に読んでいるからかも知れないが、登場人物の状況設定が雑だと思った。
高倉健をはじめ、大滝秀治、佐藤浩市、草磲剛、余貴美子、ビートたけし、などなど、豪華な俳優人がそれぞれの個性的な役柄で出演しているが、それが活かされていない。口にする台詞の元になる心情を察する物語の部分が省かれているからだ。
特に、ビートたけしが扮する元国語教師が惜しい。ビートたけしの出演制約もあったのだろうと察するが、この物語の主人公との心の触れあい模様がほとんど省かれている。合わせて、元国語教師らしく口にする放浪の歌人・種田山頭火の俳句が活かされていない。
2時間という制限、ロケ地スポンサーへの配慮、制作費の制約、そんな事があるのだろうけれど、少々残念だ。
この『あなたへ』の物語は、僕は、夫婦愛や人間模様を描いた深みのある物語だと思っているので、すでに映画を観た方には、それだけで済まさないで、ぜひ森沢明夫著『あなたへ』を一読することをお薦めする。また、映画を観ない方にも推薦したい文庫である。
◇山手線高架土手の草刈り
今日の昼過ぎ、案内所の事務室にいたら、草刈り機の音がする。
ヤマギシの村ではよく耳にする音だが、ここ高田馬場ではあまり聞くことがない。
非常階段のところに出てみると、山手線高架土手の草刈りをやっているではないか。
頻繁に通る電車に一人が安全確認して、作業を進めている。
「暑いのにご苦労様です」としばし眺めてしまった。