朝、チラシのポストインしながら、元上司に想いを馳せる

 今週土曜日は第一土曜日。多摩供給所の月一回開催の「土曜市」だ。
 そんなことで、昨夜、カワハラさんと「朝の涼しいうちにチラシ撒きをしよう」となって、5時に起床し、チラシを抱えて近隣の家にポストイン。
 「秋が近づいているなあ」と、だいぶ涼しくなったのを感じる。
 街角や庭先に咲くアサガオや芙蓉の花にも、どことなく「夏の終わり」を感じる。
  

 ポストインをしている時に、時々、家々の表札に書かれている名前を見て、いろいろなことを思い出す。
 昔の小中学校時代の同級生や、以前勤めていた会社の同僚や先輩などの顔が浮かんで「今頃、どうしているかな。あの時はこんなこともあったな」と頭に蘇るのだ。
 今朝は始めてポストインする地域で、路地を巡っていると自分が今どこにいるのか、方向が分からなくなることもしばしば。
 そんな時に『○○ 純』という表札を目にした。僕の頭の中に一気にサラリーマン時代の上司の顔が浮かんだ。その上司も『○○ 純』という名だった。
            
 この上司は、お酒が好きで、週末の夕方になると必ずと言っていいくらい「今日の仕事の具合はどうかね」的な、いっけん部下の仕事の進捗状況を心配するような言葉を、僕と同僚にかけるのだ。その上司に付いたばかりの時には、まじめに業務報告をしたのだが、そのうち、その言葉は「どうだね、これから一杯付き合わないか」という意味だというのに僕たちは気付く。気さくな上司で、酔うと上司部下の関係など忘れて僕らの話題に乗ってくる人だった。
 ある時、『純』という名前の焼酎が発売され、行き付けの居酒屋にも置いてあった。酔いが回った僕たちは、その焼酎をボトルでとって箸で叩きながら、日頃の上司に思っていることを洗いざらい言った。「純、よく聴けよ。分かったか?」などと、ボトルに向かって悪態を・・。
 人がいい『純』上司は「分かった、分かった」と、そのボトルをとってお湯わりを僕たちに作ってくれた。
 翌週の月曜朝、上司は「先週は、ずいぶん誰かに叩かれてなあ〜」とブツブツ笑いながら席に着いたのを覚えている。
 たぶん、こんな上司は珍しいのだろうが、僕らの部署は11人のグループで、忙しい時期になると上司自ら「おい、今日から徹夜だぞ」と僕たちにハッパをかけて、徹夜と深夜帰宅を繰り返しながら仕事をやり遂げたものだ。それも、自分達のグループを「燃えるイレブン」などと自画自賛して。
 あれから約30年。その元上司から、今年の正月に「晴耕雨読。家庭菜園の畑に種まく春を待つ」という年賀状が届く。