桐野夏生の「ポリティコン 」という小説

 2.3日前に友人から「桐野夏生の新刊は共同体が舞台だよ。読んだ?」というメールをもらった。機関紙「けんさん」新聞3月号の編集も一段落したので、書店に行ったら、入口近くに山積みされていた。
 私はまだ桐野夏生の作品を読んだことがなかった。だから「ポリティコン 」が新刊されて、それがどのような内容かも知らなかったというか、新聞広告で書名は見たことがある程度で興味はなかった。
 この小説は、週刊誌に連載されていて今回単行本になったものだ。
 大正時代、東北の寒村に芸術家たちが創ったユートピア「唯腕(いわん)村」という共同体が舞台になっているようだ。そこで育った青年を主人公に、物語が展開されているらしい。出版社の書籍紹介の最後には「・・・ユートピアはいつしかディストピアへ。今の日本のありのままの姿を、著者が5年の歳月をかけて描き尽くした渾身の長編小説!」とある。
 村上春樹の「1Q84」でも共同体で育った少女を登場させ、桐野夏生も共同体で育った青年。これらの作家が、今なぜ、共同体を取り上げるのか、そこを少しでも知りたいと思って読み始める。