東京都庁のプロジェクションマッピング

 水曜日の夜、埼玉県のヤマギシの村・岡部実顕地に出張だった。
 3時まで研鑽会をして、帰りの時間が遅くなって新宿に着いたのが6時半。
 2月25日から東京都庁の第一本庁舎東側壁面に、巨大なプロジェクションマッピングが始まったことをニュースで知っていたので、小田急線に乗り換える前に途中下車して寄ってみた。

 

 第一本庁舎前の半円形の「都民広場」が観覧場所。
 7時からスタート。花壇の縁石に座る場所を確保して10分少々待つ。観客はおおよそ500人ほど??かな。

     

     

     

     

 今日は、両国、相撲、力士の姿がメイン。

     


 僕の隣には同年配のご夫婦。
「このプロジェクションマッピングにかかる費用は年間7億円らしいですよ。都民の人から文句が出ないのでしょうかね? 私は都民でないけど・・・」と。
「へぇ~、そんなに税金使っているのですか? ところで何処から?」
「私は隣の神奈川県の相模原。東京都は裕福ですね~。7億円って、ニュースで言ってましたよ。観光名所になればと始めたらしいです」
 そんな会話を、1パターン10分弱の彩りを鑑賞。

 確かに外人の観光客も多い。
 7億円の経済効果は???

河崎秋子著『肉弾』と『締め殺しの樹』を読む

 『ともぐい』直木賞を受賞した北海道の別海町出身の作家・河崎秋子さん。「この作家は、他にどの様な作品を・・・」と興味を持って、短編・中編を収録した文庫本『土に贖(あがな)う』『鯨の岬』を読んだことは、前にブログに書いた。


 作家の松井今朝子さんが『土に購う』の解説で、「河崎さんの強みは、厳しい自然と対峙し、文字通り地に足のついた生業で培われた、 羨ましいほどにタフな心身の生みだす、現代では実に稀な逞しくもおさおさしい筆力であろう」と述べているのに同感して、今回、ブックオフで探して読んだのが、2017年に刊行した『肉弾』と、前回、直木賞候補になった『締め殺しの樹』だ。

     

 今回も「河崎秋子さんは、どうしてこんなタイトルを付けるのだろう」と思いながら読み始めたのだが、2作品とも、圧倒的なリアリティと筆力ある描写に圧倒されて、物語の展開に惹き込まれてしまった。

 『肉弾』の時代背景は、現代。引きこもりの生活していた無気力な青年が、父親に連れられて熊を仕留めに北海道の森に入り、そこでの命のやり取りを通じて、生きるという自己を回復させていくというテーマ。

 『締め殺しの樹』は2部構成。
 第一部は、昭和初期、天涯孤独の少女が根室の遠縁に引き取られ、そこでの過酷な仕打ちに耐えながらも育ち、札幌に出て保健婦として独り立ちし、再び根室に戻って、そこでの閉鎖的な農社会のしがらみの中で、そこで生活する人達に役立ちたいと精一杯生きる女性の物語。
 そして第二部は、その女性を実母としながら、女性が辛苦を耐えて育った同じ農家に養子として貰われ育ち、札幌の北大で学びながら間接的に思いもよらない実母の生き様を知り、葛藤しながら自分の生き方を見いだすといった内容だ。
 タイトルの「絞め殺しの樹」の意味が、実は菩提樹だというのが物語の後半の展開で少しずつ気付き、読後に納得する。
 ちなみに日本で菩提樹と呼ばれるのはシナノキ科のボダイジュで、インドではクワ科イチジク属のインドボダイジュを「菩提樹」と言うらしい。この蔓性の植物は、他の木に絡みついて、絞めつけながら栄養を奪い、その木を枯れさせることから別名が「シメゴロシノキ」と言われるのだ。
 人と人、それぞれの価値観と思惑と、そこから生まれる振る舞いが、絡み合いながら、締めあいながら、お互い影響しあいながら、それでも生きねばならない。そんな、どんな中でも必死で生き続ける人間の性(さが)というか、業(ぎょう)を描いているのだ。

 それにしても、重い、重いテーマをここまで掘り下げ、一気読みに近い読み方にさせる筆力は凄い作家だと思う。
 もう少し、河崎秋子の世界に触れたくなって、三浦綾子文学賞を受賞した『颶風(ぐふう)の王』を探している。

今日は穏やかな春の土曜日・梅の花Photo

 ここ何日か、ぐずついた天気。
 今日の土曜日は晴天。風もなく、陽射しも暖かい。
 でも、明日からはまた、思わしくない天気だとの予報だ。

 

 昼食後、我が家から車で15分程のところにある薬師池公園の梅林に行ってみる。

     

     

     

     

     

     

     

     

  小鳥も遊んでいる。メジロかな?

     

     

     

     

 今日は、たっぷりと馥郁(ふくいく)たる梅の花の香りを満喫だ。

『手塚雄二展 雲は龍に従う』を鑑賞

 現在、日本橋三越本店で「手塚雄二展 雲は龍に従う」を開催されている。
 上野・寛永寺の根本中堂の天井画として、手塚雄二画伯が龍の絵を奉納するという。

 その記念の展覧会だ。
 手塚雄二画伯は、昨年まで東京藝術大学日本画教授で有名な方だ。前にも作品展に行ったことがある。その招待券が、今回も手に入ったので三越本店に行ってみた。

    

    

 本店1階の3階まで吹き抜け中央ホールの床全面に、その奉納する天井画6m×12mが展示してあった。

    

    

    

 凄い! 凄い迫力だ!

 全体を見ようと思って3階まで階段を上がる。

    

    

 7階の第二会場では、手塚雄二画伯の作品展。
 そこには、小下図と画伯が天井画に取り組んでいる写真も展示してあった。

    

        

    

 今回展示してあった画伯の作品の何枚かをスマホに収めたのでアップする。

    

    

    

 大きな屏風絵も。

    

    

    

    

    

 掛け軸絵も。

    

    

 

直木賞作家・河崎秋子の紡ぎ出す作品にハマって

 『ともぐい』直木賞を受賞した北海道の別海町出身の作家・河崎秋子さんの作品に、いま「ハマって」いる。
 受賞作『ともぐい』では、厳しい自然の中で熊も鹿も兎も、そして人間も、同じ〝生きとし生けるもの〟としての命のやり取りが、リアルに描かれて、その世界に惹き込まれてしまい、読後に「この河崎秋子という作家は、他にどの様な作品を・・・」と興味を持って、今回、読んだのが、短編・中編を収録した文庫本2冊。

 1冊は『土に贖(あがな)う』、もう1冊は『鯨の岬』だ。

                

 『土に贖う』は、明治から昭和初期にかけて北海道を舞台に、時代の推移とともに栄枯盛衰する産業を題材に、それに翻弄されながらも過酷な自然の中で必死に生きる人間の生き様を描いている7編の短編集だ。
 北海道にそのような産業の栄衰があったのかと、僕は知らなかったので興味を持って読んだ。 

                     

    それは、養蚕業であり、ミンクの養殖、ハッカの栽培、野鳥の羽毛採取を目的とした捕獲、蹄鉄など運搬馬関連の仕事、煉瓦建築需要の煉瓦生産産業などだ。

 

 そして『鯨の岬』は、 2022年書下ろしの表題作と、2012年に北海道新聞文学賞を受賞した「東陬遺事」の中編2編。

 とにかく、河崎秋子さんが紡ぎ出す作品は、「生と死が隣り合わせに生きざるを得ない」人間の生き様を、リアルに描き、中編、短編とは思えない読み応えある作品群なので驚く。
 そんな河崎秋子文学の世界を、作家の松井今朝子さんは『土に購う』巻末の解説で、次のように評している。

   まさに、その通りだと思って引用させていただく。 
「河崎作品は観念に先立って、圧倒的なリアリティ を有する筆致の描写が緊密に結びつくことで、現実の厳しさや凄まじさを再現しながら、そこに打ち勝つ本源的な生命力を蘇らせる小説だ」と評し、さらに「河崎さんの強みは、厳しい自然と対峙し、文字通り地に足のついた生業で培われた、 羨ましいほどにタフな心身の生みだす、現代では実に稀な逞しくもおさおさしい筆力で あろう」と述べている。

 

だいぶ春が近づいてきた土曜・日曜のおしゃべり

 先週木曜日には、例年よりだいぶ早く春一番の南風も吹いたし、気温も20℃になって、一気に春の訪れ。
 我が町田でも、河津桜が咲いている。
 我が家から歩いて15分程のところの忠生公園の河津桜、もう満開に近い。

    

    

    


◇土曜日はファーム町田店の「味わい広場」で
 だいぶ暖かくなってきたので、そろそろ「味わい広場」も開店しようかと、埼玉県のヤマギシの村・岡部実顕地のチエコさんに声かけて、「豚串の炭火焼き」「ネギ焼き」のお店を、久々にやる。

    

 暖かくなるという予報に裏切られて、一日中、曇りで気温も上がらない。
 10時に開店したが、お客さんの来場はイマイチ。
 これが群馬県ヤマギシの村・榛名実顕地で飼育した豚の肉を使った「豚串の炭火焼き」

    

 こちらが岡部実顕地の深谷ネギを使った「ネギ焼き」

    

  昼頃になって、ようやく「あら~、暫くぶりにやっているのね~?」と、お客さんが来てくれて、まあまあの売れ行き。
 「この炭火焼きを食べて美味しいの知って、ここの豚肉買うようになったのよ。お友だちに持っていくから、豚串2本とネギ焼き2個のパックお願い!」
 そんな言葉に、寒さも忘れて・・・。

 

◇日曜日は町内会の「防災訓練」に
 今日は10時から、町内会館のひろばで「防災訓練」
 朝の開店準備と精肉パッキングが終わった後、ユキさんとオザキ夫妻と4人で参加。

    

 近くの消防署からも、消防自動車2台と隊員10人が来てくれていた。

    

 消防車の横には「煙体験ハウス」も。

    

 煙が充満している中に入って、身を低くしての移動の体験をする。

    

 消化器の使い方も丁寧に教わって消火の練習。

    

 バケツリレーの競争や、負傷者への三角巾の使い方もあった。

    

 そして負傷者への心臓マッサージとAEDの使い方のポイントを教わる。

    

    

 最後に防災ビンゴのゲームがあって、お土産に防災用アルファ化米の炊き込みパックご飯とお水をいただいて帰ってきた。

直木賞受賞作『ともぐい』を読む

 今回の直木賞を受賞した河崎秋子さんという作家を僕は知らなかった。
 プロフィールを見たら、北海道の別海町生まれ。
 別海町と言ったらヤマギシの村・別海実顕地があるところだ。グーグルマップで検索したら近くに河崎牧場というのがある。ここかもしれない。
 さらに、三浦綾子文学賞大藪春彦賞新田次郎文学賞なども受賞している作家ではないか。
 「ともぐい」とは、ちょっとビビるタイトルではあるが、どんな小説を書いているのだろう? これは読まなくては?・・・。
 そんなことで、直木賞受賞作『ともぐい』を読んでみた。

                   

 「これが40代の女性が書いた文章?」と驚く。とにかく圧巻。
 厳しい自然の中で熊も鹿も兎も、そして人間も、同じ〝生きとし生けるもの〟としての命のやり取りが、リアルに描かれて、その世界に惹き込まれてしまった。

 時代は日露戦争が起こる前の明治後期。
 主人公は、道東の山奥でひとり狩りをして、順応な犬と共に生きる男。男の「熊爪」という名前は、アイヌで育ったという養父が、熊の爪で遊んでいたことから付けた名前。
 その養父から獣狩りも獲物の捌き方も、山菜やキノコの採集も、大自然の中で生き抜く知恵や技術のすべてを教わり生きている。
 毎日の暮らしは、過酷で、壮絶な日々。
 熊や鹿など獲物の肉、皮、内臓や、山で採れた山菜などを売り、必要最低限な物を買うときだけ人里に降りていく生活。人との関わり、世間の動向には一切無関心。
 その主人公・熊爪の、熊や鹿などとの生々しい命のやり取りに呆然とする展開の連続。
 獲物を捌く場面では、その湯気が立ち上ぼり血の匂いが漂ってきそうな感じだし、他から来た猟師が熊に襲われ、その怪我人の潰された目の処置、怪我の治療などは、あまりにも生々し過ぎる描写に唖然とする。
 縄張り争いの熊同士の死闘、熊と主人公・熊爪との死闘、とにかく圧巻。
 そして主人公・熊爪の生死観の変化。そして巻末での森で生きた男の命の意外な、いや成るべくしてなった結末。
 東北地方の「マタギ物語」とは違った猟師の生き様に圧倒された。

 著者は、実家の酪農の手伝いをし、羊も飼育しながら、執筆しているらしい。そんな動物相手の日常だからこそ描けるのかもしれないが、それにしても、ここまでリアルに描けるのかと驚きの連続で惹き込まれた次第。

 しばらく、河崎秋子という作家にハマりそう。
 先ほど、書店に寄って新田次郎文学賞短編集文庫『土に贖(あがな)う』を入手。