「人間の回復力って凄い!」ことを知る

 大阪の大東市に住んでいる知人で、口笛奏者でもあるヤマドリさんから、高次脳機能障害を患った人が、口笛を奏でるまでに驚異的な回復をした経過を書かれた本と、その口笛を収録したCDが送られてきた。

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 高次脳機能障害については、馬の飼育舎で働いていて、馬に蹴られて高次脳機能障害を患った青年がヤマギシの村に帰ってきて、ある期間、我が家(多摩実顕地)で一緒に生活しながら病気療養したことがあったので少しは知っていた。
 この本に書かれている方は、脳梗塞からの高次脳機能障害
 医師も脳梗塞からの鬱だろうと心の病気と誤診しての病状悪化と、脳機能の障害だと再診断された後の手術と、その後の回復に向けての12年間の壮絶な経緯が描かれていた。

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 著者である奥さまは、教師をしながらの介護に何度も落ち込みながら、子供達や理解ある専門医師の励ましで、夫の回復に望みをかけての日々。
 そして、まだまだ後遺症は残るものの奇跡的とも言える回復。
 口笛を吹くことができるようになった夫の、その口笛のCDを作りたいと、ヤマドリさんたち地域の人達に相談し、プロジェクトを立ち上げての取り組みが描かれていた。
 「高次脳機能障害」とはどんなことか。
 そして、それを患った人の介護が如何に大変なことか。
 それを支え合う家族愛。
 知人のヤマドリさんを含む、心ある地域の人達の支援と、障害を持った人でもみんなの中で生きられる地域づくり。
 そんなことが、描かれている本だった。

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 著者の奥さまの、夫が障がい者にならなければ出会うことがなかった人たちは何ものにも代えがたい財産です。この財産をいただけたから、私たちが幸せであることは間違いありません。元気だったらどんな夫婦になっていたか、少しは知りたい気もしますが、絶対、今のほうが幸せだと思います。」「幸せは自分の心が決めるものですから。」という、巻末の結びの言葉(表紙帯にも記載)が心に残る。

 

著書紹介
『 いっちゃんは、ビリビリマン ─「高次脳機能障がい」なオットと私の日々─ 』
  著者:白井京子
  価格:本体1,500円+税
  発行:星湖舎
「壁紙をビリビリ破ることも、口笛で奏でることも、“白井京子”にとっては同じこと。それはどちらも“白井いさお”が生きている証だから…。」(「BOOK」データベースより)