西海市にも猪垣(ししがき)があった

 長崎県ヤマギシの村・西海実顕地を参観していたら、鶏舎脇の農道にこんな標識があった。
      

 この猪垣(ししがき)とは、猪や鹿などの食害から田畑を守るため築かれた石垣である。
      

 ここは山地が海岸に迫るため平地に乏しく、耕地も少ない。
 田畑を守るために、中国の万里の長城の小型版のような石垣を築いたのだ。
 万里の長城は煉瓦だったが、ここは石材を1.2〜1.8mの高さに、人力で積み上げた石塁である。
      

 『西彼杵半島猪垣分布調査概報』(長崎県教育委員会発行)によると「猪垣は、西彼杵半島の山を一周するように延長70Kmにもわたり構築されたと推測されている。」とあるから凄い石塁である。
      

 興味を持って、ネットで調べてみたら、滋賀県香川県、愛知県、岐阜県などにも見られるらしい。
 現在でも、猪や鹿などから作物を守るために、ネット柵や電気柵や金網などがあるが、古人たちは、多大な労力で石塁を造ったのである。