櫛かんざし美術館に「型彫り作品展」を見に行く

 奥多摩に、一度は訪ねてみたいと思っていた「櫛かんざし美術館」という「櫛」と「かんざし」を数多く展示してある美術館がある。
 その美術館で現在、江戸小紋の型彫職人・高井章夫さんの「型彫り作品展」を開催中だ。
       
 高井さんは、以前にヤマギシにいたこともあって知り合いなのだ。
 これはいい機会だと思って、日曜日にファーム町田店の開店準備が終わってから、スタッフに入ることを免除してもらって、横浜線と中央線を乗り継いで行ってみた。
 「櫛かんざし美術館」は、JR青梅線無人駅・沢井駅で下車して、坂道をを下って、地元の老舗の造り酒屋「小澤酒造」の前を通って、多摩川に架かるつり橋を渡る。
 新緑が気持ちよかった。
       
       
 つり橋を渡り坂道を上がった所に白壁に飾られた和風の建物の美術館「澤乃井・櫛かんざし美術館」があった。
       
       
 この「櫛かんざし美術館」は、小澤酒造の元会長の小澤恒夫氏が、櫛やかんざしの世界的な収集家で京都の芸妓でもあった故岡崎智予さんが、40年かけて集めた約4000点もの品物を買い取り、1998年4月にオープンしたのだ。
 その後、個人の寄贈などを引き取り、現在は約5000点を所蔵し、作品は江戸時代と明治から昭和の年代別に分けて、常時400〜500点ほどを展示してあるという。
 確かに、よく集められたと思うほどの貴重な品物が展示してあった。
 展示費の撮影は出来なかったので、パンフレットを接写。
       
 
 その第三展示室が、「型彫り作品展」の会場だった。
       

 作品展のチラシ案内を要約しながら「型彫り」について紹介すると、
 「友禅、小紋などの柄や文様を着物の記事を染めるのに用いるのが型紙。江戸中期より始まったとされ、美濃和紙を柿渋で貼り合わせたした型地紙に彫刻刀で図柄を掘り抜く。熟練した高度な技術が必要。」
 「江戸時代には紀州藩の庇護を受けて、型紙が染めの型紙として一世を風靡した。各藩の大名、武士のの裃にはじまり、町人文化が花開く江戸中期には爆発的に需要が伸びて、伊勢型紙は飛躍的な発展。」
 「しかし、昨今のきもの離れや写真による技術の確立もあり、型紙は激減し、職人が減少、高齢化しているのが現状。最盛期は1000人の職人が従事していたが、発祥の地である鈴鹿市白子町、寺家町(三重県)は、現在25人(平均年齢78歳)で、技術継承が危ぶまれている状況。」


 その技術継承に一役出来ないかと、長年、型彫職人から離れていた高井さんは、4年前から「江戸小紋・型彫職人」として復帰した。
 展示室の前で、型彫り実演する高井さん。
       
       
       
 展示してあった高井さんが彫った型紙。
 この1枚を彫るのに、約1ヵ月かかるという。