池井戸潤の『陸王』を読む

 7月中旬から、書店の入り口の一番目立つところに山積みされている池井戸潤さんの本なので、気にはなっていたが購入までは到っていなかったら、時々、ビールを飲みながら読書談義をする友人が届けてくれた。
 届けてくれたのが7月中旬。
 読みかけの本もあったし、オリンピック中継も観たりして、読んでいなかったのだが、先週末から読み出して、週末の出張の電車の中で一気に読んだ。
          
 物語の展開は、池井戸潤さんの今までの作品と同じだ。
 だから安心して読めるというか、最後の大逆転を期待して一気に読み進められるとも言える。
 とにかく、最後まで飽きることなく、引きずり込んで読ませる筆力は流石である。

 物語の舞台は、従業員20名程度の零細企業でありながら、100年の歴史をもつ老舗足袋製造会社。
 和服業界と歩調を合わせて業績はジリ貧。
 銀行から融資を引き出すのにも苦労する日々。
 そんな中、社長はふとしたことから新たな事業計画を思いつく。
 長年培ってきた足袋製造のノウハウを生かしたランニングシューズを開発してはどうかと…。
 社内にプロジェクトチームを立ち上げ、開発に着手するがなかなか上手くいかない。
 様々な障壁が立ちはだかるが、協力者も現れ、諦めずに、資金難や大手シューズメーカーの妨害に立ち向かいながら開発を続ける。
 チームワーク、ものづくりへの情熱、仲間との熱い結びつきで難局に立ち向かい、克服していく。
 そんな内容なので、『下町ロケット』を思い出しながら読んだ。
 まあ、とにかく、「元気をもらえること確実」の池井戸潤さんの小説だ。


 蛇足になるが、『下町ロケット』は小説を読んで感動し、テレビドラマを観ても感動した物語だったので、今回の『陸王』の登場人物のイメージが、どうしてもテレビドラマ出演の俳優とダブってしまった。
 そして、映画化されるときには「きっとあの役者だろうな」などと思ってしまった。