原田マハ著の文庫本のおしゃべり

 九州のサユリさんのブログに
 ─ 今年初めての読書は『星がひとつほしいとの祈り』原田マハ著。
   7つの物語があります。
   どれも心があたたかくなり、ふっと涙が零れる物語です。
   今年最初にこの本を読めてよかった。 ─

 こんな記述があって、著者も原田マハなら読んでみたいと思って連絡したら、先々週末にメール便で届けてくれた。
          

 僕は『楽園のカンヴァス』を読んだ以降、原田マハは注目している好きな作家だ。
 今回読んだこの文庫『星がひとつほしいとの祈り』は7編の短編集だ。
 それも20代から50代の女性が主人公。
 サユリさんが「どれも心あたたかくなり・・・」と書いているように、確かに7編とも、それぞれの物語の中での主人公(女性)の、絶妙に揺れる心情や葛藤 ─ それは親子関係だったり、男女間の問題だったり ─ を描きながら、最後は、前を向いて生きようとする心を読者に感じさせる。
 男性の僕でも、その物語を読み終わった時には、なぜかホッとする、あたたかいものを感じるのだから、特に女性にはお薦めの短編集だ。
 僕は7編の中で特に、文庫のタイトルになっている「星がひとつほしいとの祈り」もいいが、「長良川」が良かった。
 この「長良川」は、半年前に癌で夫を亡くした女性が主人公。
 生前に夫と交わした会話と、心と心の絡み合い。
 その幸せが主人公に生き続けているのにジンとくる。
 読み終わった時には、妻を美味しいコーヒーにでも誘いたくなる心境にさせてくれる。

 この文庫を、僕は先週末の大雪で出かけられない時の空き時間に3編読んで、今日の出張時の往復の車内で残りを読んだのだが、その移動の時間を、まるでドラえもんの〝どこでもドア〟的感覚にしてもらった。