妻と認知症の人たちの畑

 妻は、町田市の認知症の人たちの地域サポート施設に関わっている。
 最近、早朝に「畑の水やりをしてくる」と出掛けることが多くなった。
 聞くと、認知症を患ってサポート施設に来ている人たちと、畑で作物を育てているのだと言う。
 中には、50歳代の若年認知症の人もいて、身体は元気で、高齢者の認知症の人と、上手く作業分担をしながら畑作業をしているらしい。
 畑は、多摩実顕地でも付き合いがある地域の不動産会社の70歳になる会長が貸してくれている。
 その会長は、畑の隣に私的テニスコートを持っていて、そこからホースで引いて水道の水を提供してくれたり、畑に使うマルチを提供してくれたりしているのだと言う。
 今朝、
 「一度、畑に言ってみない。見てよ。」という誘いを受けて、
 「まあ、妻のやっていることを知るのも大切かな」って思って、妻に付き合い、その畑に行ってみた。
      
 畑の広さは、目測だけど1反以上ある。
 
 いろいろな作物が植えてあって、虫に食われながらも育っている。
 デーサービスに来る認知症の人たちが、毎日午後に、この畑で作業をするのだと言う。
 前にやったことは忘れてしまっているので「エッ!」と思うことも起こるけれど、畑作業をイキイキとするし、部屋では黙りこくっている人が、畑に来ると大声で人に指図して作業を楽しそうにするらしい。
         
 妻は
 「畑をやってみたら、みんな元気に動くし、意外な効果があってね。」と、
 さらに「今日は、何をしても貰おうかな?」と思案しながら虫をつまみ、
 「今日は雨も降らないから、虫取りして貰おう。」と独り言を呟く。
         

 カボチャの花も咲き出したし、サツマイモの苗も元気に育っていた。
          
         
         

 「食糧難の頃に育った人って、畑を見ると、何かを植えたくなるらしく、もんぺを穿いたり、鍬を持つと急に元気になるのよ。」と妻は言う。

 僕らも、栃木県の大田原農場で「ふるさとFarmづくり農業体験」という企画を、男性有志で毎月楽しくやっているが、土に触れ、作物の育ちに触れると、人間としての何かが甦るのかも知れない。