重松清著『くちぶえ番長』に感動

 重松清という作家は、ほんとうに凄いと思う。
 読んでいて、こんなにも、心が温かくなる読み物を書ける作家って、他にいるだろうか。
 それも、誰にでも分かるような、やさしい言葉を使って・・・。
 前回読んだのは、NHKとTBSでドラマ化もされた『 とんび 』だったが、今回はくちぶえ番長』だ。
 なんの予備知識もなく、BOOKOFFの店頭で出会って200円で買った文庫本。
           
 この作品は、雑誌『小学四年生』に連載されたものを、それに書き下ろしを加え、文庫化したものだそうだ。
 主人公も小学四年生の男。名前はツヨシ。
 彼らのクラスにやってきた転校生の名前はマコト。
 一輪車と口笛が得意で、髪の毛をちょんまげみたいに縛っている女の子。
 そのマコトとツヨシと、2人を取りまくクラスメートの織りなす子ども世界。
 転校生のマコトは、正義感が強く、運動神経もバツグン、実にカッコイイ。
 転校してきて初日の挨拶
 「わたしの夢は、この学校の番長になることです。」「弱い者いじめを見過ごして逃げるような子は、大っ嫌いです!」
 マコトには、お父さんが小さいときに病気で亡くなっていない。
 お父さんの遺言が
 「カッコいい番長になれ、悪いヤツらを倒して、ひゅーっ、と気持ちよさそうにくちぶえを吹く、そんな番長になれ!」


 これ以上書くと、これから読む人の邪魔になるので控えるが、小学生の読み物というより、親たちの琴線に触れる読み物だ。
 読んでいて、グッとくるし、ホロッとしてしまうシーンが満載だ。