2013年の新しい年を迎えたと思ったら、もう1ヵ月が過ぎてしまった。
明日から2月だ。
寒い、寒い、と言っても、駅ナカの花屋さんの店先には、一足早く、春を思わせる花々が並んでいる。
その香りに、ちょっと足を止めてしまった。
◇『農民芸術概論綱要』
ウィリアム・モリスの思想が宮沢賢治に影響していると、先日読んだ新書や、その著者の大内さんの講演を聞いて、あらためて宮沢賢治の『農民芸術概論綱要』を読む。
序論
……われらはいっしょにこれから何を論ずるか……
おれたちはみな農民である ずゐぶん忙がしく仕事もつらい
もっと明るく生き生きと生活をする道を見付けたい
われらの古い師父たちの中にはさういふ人も応々あった
近代科学の実証と求道者たちの実験とわれらの直観の一致に於て論じたい
世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない
自我の意識は個人から集団社会宇宙と次第に進化する
この方向は古い聖者の踏みまた教へた道ではないか
新たな時代は世界が一の意識になり生物となる方向にある
正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである
われらは世界のまことの幸福を索ねよう 求道すでに道である
そして賢治は、「農民芸術の興隆」の中で、「芸術をもてあの灰色の労働を燃せ」と労働と芸術を結びつけている。
◇坂口恭平も「経済=芸術」と言っている
『独立国家のつくりかた』の中で坂口恭平は、
歩き方を変える。視点を変える。思考を変える。
それだけで世界は一変するのである。
自分に無数の「生」の可能性があることを知る。
このように言って、さらに、
「経済」とは語源にさかのぼれば「どうやって家計をやりくりするか」「住まいとはどういうものなのか」「僕が住むここでの共同体とはいかにあるべきか」を考え、実践する行為のことを指すのである。言い換えれば、それは社会を変えようとする行為のことだ。社会を変えるという行為、それを僕は芸術と呼ぶ。
何故か、宮沢賢治も坂口恭平も『芸術』という言葉を使う。
そして、その言葉の中に「生きる意味」の2人に共通するものを感じてしまう。
◇冬の夜の高田馬場駅前