文庫『あなたへ』についてのおしゃべり

 高倉健主演の映画『あなたへ』が今日公開された。
 一週間ほど前に、妻は、新聞広告を見ながら「この映画、観に行こうよ。」と誘ったのが、高倉健主演のこの映画だった。
 その後、TVなどでもよく広告が流されているし、高倉健は2006年の日中合作映画『単騎、千里を走る』以来の映画出演らしく話題になっていることを知る。
 蛇足になるが、この高倉健の出演した『単騎、千里を走る』を僕は観た。
 その頃は中国関連の仕事をする機会があって、中国語に興味があり、これを中国語では「千里走単騎」と表記し、読み方が「チィェンリー ゾウ ダンチー」だと言うことや、映画の中での高倉健の中国語発音に興味があったし、監督がチャン・イーモウだったので観た記憶がある。

 僕の映画を観る楽しみ方には2つある。
 映画を観てから原作を読み、映画では飛ばされている細部を読み取りながら、映画の感動にさらに彩りを添える観方。
 もう一つは逆に、映画を観る前に原作を読んで、文章の表現力と映像の表現力を比較しながら楽しむ観方だ。
 今回は、「凄く、泣ける映画のようだよ。」と妻から言われていたので、その心の準備も兼ねて文庫・森沢明夫著『あなたへ』を、映画を観る前に読むことにして、出張途中のキヨスクで買った。
          
 この文庫は映画の原作でなく、映画の脚本をノベライズ化したものなのだが、読み始めて10ページくらいで目頭が熱くなる。
 「BOOK」データベースから引用すると、
 「富山の刑務所で作業技官として働く主人公の倉島英二(高倉健)。ある日、亡き妻(田中裕子)から一通の手紙が届く。そこには遺骨を故郷の海に撤いてほしいと書かれており、長崎の郵便局留めでもう一通手紙があることを知る。手紙の受け取り期限は12日間。妻の気持ちを知るため、自家製キャンピングカーで旅に出た倉島を待っていたのは。夫婦の愛と絆を綴った感涙の長編小説。」
 このような内容なのだが、富山から長崎までの旅の途中で出会うワケありの人達が登場する。その度に、映画出演の高倉健はもちろん、佐藤浩市ビートたけし余貴美子などの演技を思い描きながら「この役はやっぱり余貴美子だよな…」とか、「この渋さは佐藤浩市だな…」と、勝手に納得して読み進め、僕は楽しんだ。
 この『あなたへ』なかなかの感動作であることは確かだ。
 映画でもきっと泣けてしまうだろう。
 これ以上の記述は、映画を鑑賞したあとにする。


◇今日の夕焼け
 夕方、我が家・多摩実顕地の生活館屋上から見た夕焼けだ。
 絵の具を筆で、あたかも誰かが意図的に、塗ったような空だった。