映画についてのおしゃべり

◇映画『泣き虫しょったんの奇跡』を観る
 この映画、新聞広告で知って、公開されたら必ずみようと思っていた。
 会の新聞「けんさん」の編集・最終校正も終わって、ホッと一息付けたので、昨日の夜、帰宅途中で新百合ヶ丘駅で途中下車して観る。
        
 将棋界において、史上初のプロ編入試験により、サラリーマンからのプロ入りを果たした人物・瀬川晶司棋士5段の物語である。
           
 小学校5年生から始めた将棋。
 中学選抜選手権で優勝し、プロ棋士を目指して、その登竜門の日本将棋連盟のプロ棋士養成機関である奨励会に入る。
 ここには年齢制限があって、26歳までに4段に昇格しなければならない。
 瀬川は、11年間将棋漬けの生活をするが、4段に昇格出来ず、プロ棋士の夢を断たれた。
 その後大学に行って、企業に勤める。
 しかし、将棋と縁を切ったはずの彼は、勝ち負けだけにこだわる将棋でない、楽しく指す将棋に喜びを感じながら、再び、将棋の魅力にのめり込む。
 才能ある彼は、アマ名人戦などで優勝したりと活躍し、プロの公式棋戦への出場資格を得る。
 プロ棋士相手に17勝6敗という成績に、「プロに対する勝率がこれほど高い人間に、プロになるチャンスがないのはおかしい」とアマチュア界やマスコミから声が上がり、古い体質の日本将棋連盟にプロ編入試験の請願書が出される。
 前代未聞のプロ編入試験が行われ、瀬川はプロ棋士相手の6局のうち3勝すれば合格というプロ編入に挑戦。
 彼を支える人達の応援が、彼を「勝つ将棋」から、「自分のためでなく、自分を支えてきてくれた人達のために勝つ将棋を指す」ことに奮い立たせて、見事3勝を果たした。
 そんな、瀬川晶司という、挫折と絶望から這い上がって、35歳で念願のプロ棋士になった物語なのだ。
 幼年期からプロ棋士になるまで、家族をはじめ彼を支えた人たちの温かい心に感動する。 主人公の瀬川を演じるのは松田龍平、これがいい味をだして好演している。
 また、小学生5年生の時に、将棋の夢を認めてくれた女教師役の松たか子が輝いていた。