夜、知人の出演する演劇を見る

 1ヶ月ほど前に、ファーム町田店のスタッフでお店に立っていたときに、近所に住んでいる俳優の側見民雄さんご夫妻が、買い物に来てくれた。
 側見さんは、昔、俳優業のかたわら、多摩供給所の朝の荷下ろしや農産物パッキング作業のアルバイトを長年してくれていた人だ。
 以前も何度か側見さん出演の演劇を観に行ったことがあったので、最近の話を聞いたら9月に六本木の俳優座劇場でヴェニスの商人に出演すると言う。
 隣で奥さまが「主人ももう歳だから、主演はこれが最後かもね。」と呟く。
 そんな会話があって、興味を示したので、翌週にチラシを持ってきてくれた。
         

 2週間前に、今日の夜の公演を予約。
 仕事を5時半に終わらせて、六本木の俳優座劇場へ。
      
      
 
 この物語は、シェイクスピアの有名な作品なので記する事もないが、簡単に言うと、
 ユダヤ人の高利貸シャイロックは、日ごろから憎んでいた商人・アントーニオにお金を貸す。
 アントーニオは貿易船が帰港すれば返済できると思っていたが、船は寄港せず返済不能になってしまう。
 アントーニオがシャイロックと交わした契約書には、「もし期日までに返済できなければ、胸近くの肉1ポンドを与える」という言葉を入れていた。
 アントーニオの窮状を見かねた知人が返済しようとするが、シャイロックは「すでに契約の期日は過ぎている」と受け取らず、憎きアントーニオに、これ幸いと裁判所に訴え、契約の履行を迫る。
 裁判官は契約書どおりに肉を切り取ることを許可する。
 シャイロックは、さっそくナイフを取り出し、アントーニオの肉を切り取ろうとする。
 そのとき裁判官が、「契約書には1ポンドの肉とはあるが、血のことは書いていない。一滴の血も流してはいけない。肉が1ポンドより多くても少なくても相成らぬ」と宣告する。
 高利貸シャイロックは、やむなく諦める。
 展開を簡単に書けば、こんな物語なのだが、今回の演出は、特に、裁判官とのやり取りと、その後の展開にユーモアも交えて、若い役者さんたちが伸び伸びと演技し、笑いを誘っていた。
 それにしても、シェイクスピアを原作にした演劇は、台詞がながい。
 役者は大変だろうな、などと余分なことを考えながら観てしまった。

 僕が観に行った目的の側見さんの役は、極悪非道な高利貸のシャイロックだった。
 演技が終わって、最後の舞台挨拶の時にシャッターを切らせてもらった。
      
      
      
      
      
      
 さすが、側見さんだ。
 髭をたくわえ、風格がある。若い役者さんに囲まれて、大御所的な存在感があった。