朝の丹沢を詠った短歌

 多摩実顕地の生活館屋上に上がると、丹沢の山脈を望むことが出来る。
 僕は毎朝、起きると木刀を持って屋上に上がり、丹沢に向かって素振りをする。

 これが今朝の丹沢だ。
     


 日曜日の東京新聞「東京歌壇」欄に岡野弘彦さんの選で、こんな歌が載っていた。


        丹沢に雪つむ朝の陽のひかり夕暮が住みし町をてらしむ


 神奈川県平塚市の升水昭夫さんが詠んだ歌だ。
 丹沢の山脈は、いま、昇りつつある陽の光に、輝きを増してきた。
 それに伴って、徐々に、街が明るんで、新しい今日の息吹が・・・

 この短歌を目にした時、僕は、毎朝見ている丹沢が、こんなふうに詠われていることに嬉しかった。
 特に、下の句の「夕暮が住みし町をてらしむ」がいいなあ〜。
 雄大な姿の丹沢の目覚めだけに奪われていた僕の視線を、見事に、街々の路地の目覚めにも呼び戻してくれた。
 こんな視点で、詠える人って、凄いなあ〜。