スピーチについてのおしゃべり

 9月7日、2020年のオリンピック・パラリンピック招致を目指して、日本の招致委員会が、アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれたIOC総会での最終プレゼンテーション。
 そのオリンピック開催地が東京に決定したのは、このプレゼンテーションの出来映えが功を奏したと、一週間経ってもテレビを始めネット上でも話題になっている。
 僕も、途切れ途切れではあるが、それらスピーチがTVで流されたのを、何度か観た。
 皇族の高円宮妃久子さま、女子陸上選手でパラリンピック選手の佐藤真海さん、元ミズノ代表取締役会長の水野正人氏、そして、安倍首相や猪瀬東京知事などなど。
                 
 これを、いろいろな報道番組やワイド番組で観るたびに、僕は、先月読んだ原田マハさんが書いた『本日は、お日柄もよく』というスピーチライターの物語を思い出しては「なるほど…」と納得している。
           
 この原田マハ著『本日は、お日柄もよく』の冒頭に、スピーチをする時の心構えが紹介されているのだ。
 それは、次のような内容だ。
    ─ スピーチの極意 10箇条 ─
     1.スピーチの目指すところを明確にすること。
     2.エピソード、具体例を盛りこんだ原稿を作り、全文暗記すること。
     3.力を抜き、心静かに平常心で臨むこと。
     4.タイムキーパーを立てること。
     5.トップバッターとして登場するのは極力避けること。
     6.聴衆が静かになるのを待って始めること。
     7.しっかりと前を向き、左右を向いて、会場全体を見渡しながら語りかけること。
     8.言葉はゆっくり、声は腹から出すこと。
     9.導入部は静かに、徐々に盛り上げ、感動的にしめくくること。
    10.最後まで、決して泣かないこと。 

 読んでいてお分かりのように、5番を除いて、すべてこの心構えに則って、今回の招致委員会の人達がスピーチをしたことが映像に現れている。
 ここまで徹底し、指導したプレゼンティーション・アドバイザーとスピーチライターに、僕は脱帽する。
 そして、オバマ米大統領の就任演説を、スターバックスの店内で草案を書き上げたというスピーチライターの存在を、以前に何かの番組で観たことを思いだし、つくづくと、その様に、見えないところで活躍する人の存在の重要さに「すごいなあ」と、納得する。