東京新聞の夕刊に掲載されていた小椋佳の『この道・歌創り40余年』の連載が先週の土曜日で終わった。
きっと中日新聞でも掲載されていたと思うから読んだ人も多いと思う。
56回におよぶ連載だったのだが、僕は楽しみにして読んでいた。
こんなことを言ったら失礼だが、昔、小椋佳が神田という銀行員だと言うのを知った時、その風貌と、その職業イメージからは、想像もできない歌詞とメロディー。そのイメージのかい離を友と話した記憶がある。
言葉の魔術師のような、洗練された言葉の連なり。
例えば、有名な『シクラメンのかほり』の最初の歌詞など、どうしてこんな言葉が浮かんだのかと、初めて聞いたときに感嘆してしまった。
真綿色したシクラメンほど 清(すが)しいものはない
出逢いの時の 君のようです
ためらいがちに かけた言葉に
驚いたように ふりむく君に
季節が頬をそめて 過ぎてゆきました
そんなことで、彼の書く歌詞の数々に、僕はその都度、驚き、感動もしたし、心模様を表現する彼の言葉に、僕はずっと興味があったし、次はどんな歌が生まれるのだろうと、期待し続けていた。
団塊の世代のちょっと先輩の小椋佳も、来年で70歳。
ガンを患い、胃の4分の3を取って克服し、コンサート活動を続けている。
彼が、連載の最終回に紹介しているのが『美しい暮らし』という歌だ。
この歌詞も、一度だけでなく、二度三度と読み返していると、彼の今の心情が行間に浮かびあがるような気がして、静かに心に入ってくる。