今日の案内所・訪問客のカトウさん

 今日、東京は午後から冷たい雨。そんな中を、
 「電車から、高田馬場を通るたびに、いつも看板は見ていて、寄ろうかなって思っていてね〜。」と訪ねてくれたカトウカネユキさん・76歳。
 聞くと、ヤマギシの第2回特講を受講して、三重の春日山実顕地にも何年かいたと言う。
 1958年頃に東京に戻ってきて、現在は八王子市に住んでいるらしい。
 「昔の案内所は、駅の向こうのホームの脇にあってね。その頃はドイさんがいたなあ。」と、かなり昔の話を始めた。
 「もう、50年も前の話だよ。僕は豊里実顕地ができた頃には東京に戻っていたもの。」と話ながら、いろいろな人の名前が飛び出す。
 名前を聞いて「その人は春日山で元気ですよ。」「その人は亡くなりましたね。」「その方は山岸巳代蔵全集の中には出てきますが、僕は分かりません。」などと答えるたびに、
 「そうか、そうか、そうだろうな。」などと言いながら、当時の話を聞かせてくれた。
        
 三重のヤマギシの村から東京に戻って、私鉄会社に入り長年勤めて、そこを定年になってからは幼稚園の園児送迎バスの運転手を今年の3月までやっていたと言う。
 元気はつらつ。コートを脱でカーデガン姿になった時、案内所の女性達は「おしゃれ〜、若い〜い。」と・・・。
 「今は、もう年金生活だよ。」と言いながら、
 「ヤマギシにいた頃は若かったなあ〜」と、微笑む笑顔が印象的なカトウカネユキさんだった。

 会の機関紙「けんさん」に連載中の「あの人を訪ねて」に、最近掲載したフジオカさんやヤマモトさん、ヤマドリさんを知っているというので、帰り際にお渡しする。
 「ヤマギシの中で、僕を知っている人も少なくなったろうな〜。」と呟きながら、手を振ってエレベーターに乗って帰って行った。
 この人の中には、山岸巳代蔵も、50年前の春日山での出来事も、しっかりと心の中で生きていると思った。