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◇「他者と和解できる」価値観
僕の好きな哲学者の一人・内山節さんが、今日の東京新聞朝刊の「時代を読む」というコーナーに、『「他者と和解できる」価値観』と題して書いていた。
内山さんは、群馬県の上野村での暮らしは「自然とも、人々とも和解しながら暮らす。それが村の暮らしの流儀だ。我慢して和解するのではなく、和解できる世界で生きていることを楽しむのである。」と言っている。
そして、「いま私たちはいろいろなものと和解しなければならないときに、さしかかっていると思えてくる。自然を征服しようとした時代から、自然と和解する時代へ。人間同士も、対立ではなく和解が必要になっている。いろいろな考えをもっている人たちが対立するのではなく、和解をしながら世界をつくっていくことが本当に必要だ。」と、利益優先の経済活動からトランプ政権の成立や、企業の非正規雇用の増加を憂えて、「和解できる経済活動のかたち、和解できる国のあり方を探っていかなければならないのである。」と述べている。
「他者と和解できる価値観」からの国づくり、一人一人の生き方の必要性を、内山さんは書いていた。
◇山梨県の知人から自費出版の小冊子が送られる
昔、僕と同じ某電機会社に勤めていて、定年退職を機に山梨県に移り住んだ知人から、小さな冊子が送られてきた。
彼は、家の前の畑で野菜などを作りながら、趣味の音楽を聴いたり、美味しいコーヒーを楽しんだりしながら悠々自適な生活をしているのだが、こんな文筆の才能があるとは知らなかった。
冊子の「はじめに」での「私の作家宣言」で、彼はこう書いている。
ある日、隣に引っ越してきた奥さんから、「夏の畑仕事が終わったら、冬は何をして過ごすのですか?」と聞かれたらしい。
なんて答えたらいいか分からず、慌てて咄嗟に「実は、私は作家なんです。」と答えてしまったと言う。
それで彼は、「作家になるには医師や弁護士や教師のような国家資格や免許が要るわけではない。自分が、作家であると言い切るだけの自信と、その自信を支えるためのよい作品を書き上げようという努力と志の問題である。」と気付き、この冊子を自費出版したらしい。
実に、面白い経緯で生まれた著書である。
◇今月の「文藝春秋」
今月の雑誌「文藝春秋」は、芥川賞受賞の『しんせかい』が掲載されている。
僕のブログを読んでいて、僕が本好きなことを知っている出版関係に繋がりがある知人が、芥川賞受賞作品が載っている時には、必ず「文藝春秋」を贈ってくれる。
いま、読みかけの文庫が終わったら、早速、山下澄人の受賞作品を読もうと思う。
山下澄人という人は、倉本聰さんの富良野塾出身で劇団を主宰しているというのにも興味が湧く。