石川文洋さんの写真展

 夕方、横浜に行く用事があったので、関内駅近くの横浜情報文化センター・日本新聞博物館で開催されている石川文洋写真展「ベトナム戦争と沖縄の基地」』に寄った。
 石川文洋さんとは、かなり以前にヤマギシズム学園高等部生のミュージカル『農が好きだ』を東京で公演したのをキッカケに3、4度お会いしたことがある。
 新聞で、この写真展を知って、ぜひ観たいと思っていたのだ。
 関内駅で降りて、横浜スタジアムを右手に歩くこと10分、横浜情報文化センターがあった。
     

 入口の写真展ポスター。(ここ以降は写真撮影禁止)
           

 入口の説明文によると、
 「ベトナム戦争終結して来年で40年。同戦争では、沖縄で訓練を受けた米軍兵士が戦地へ、爆弾を満載したB52爆撃機が嘉手納基地から出撃し、当時沖縄は最大の後方基地として米軍の支えとなっていました。」と書いてあった。
 石川文洋さんは沖縄の生まれだ。
 フリーカメラマンとして、1965年〜68年まで南ベトナムの当時の首都サイゴンに滞在して、ベトナム戦争の実態を、銃弾が飛び交う最前線で戦場カメラマンとして取材。
 その、生々しい、痛々しい、戸惑う、現地の農民と子ども達と武器を持った兵士たちの写真が数多く展示してあった。
 それは、現地の子ども達も含めた住民も、それを攻撃する兵士も、悲しいかな、共に戦争という行為に翻弄されている姿なのである。
 展示の後半は、今でも枯れ葉剤の後遺症や不発弾に苦しむベトナムの人々と、石川文洋さんの生まれ故郷・沖縄の基地や住民の基地撤去運動など沖縄の実情の記録だった。
 実に、見応えがあり、戦争を駆り立てる「国益」とは何かを考えさせられる写真展だった。(石川さんの写真説明文にも「国益のために・・・」という言葉が目に付いた)

 いま読んでいる立花隆の『四次元時計は狂わない・21世紀文明の逆説』の「ベトナムの真実」には、
 「アメリカにとっては、あれは史上最悪の戦争だった。五万七千人もの犠牲者を出しながら、得るところが何もなかった。アメリカの現代社会をむしばむ、諸悪の根源は、ほとんどがベトナム戦争起源だ。」と書かれている。
 他国を侵し戦争して、「国益」を守ったり得ようとしても、それは無駄な事であり、悲惨な状況と、その後遺症だけが長く続く現実を、あらためて実感する写真展だった。
 
 閉館時まで1時間もなかったので、じっくり説明文を読みながら、じっくり考えながら観ることができなかったのが残念である。