妻と「群読音楽劇」というのを観る

 2週間ほど前に、横浜線淵野辺駅前の桜美林大学プルヌスホールというビルに掛けてあった垂れ幕の「銀河鉄道の夜」という文字が目に留まった。
             
 早速、「何だろう」と思ってネット検索。
 『群読音楽劇・銀河鉄道の夜2014』
 ─ 市民と学生とプロのアーティストで創る、ユニークスタイルの群読音楽劇 ─
 群読音楽劇って何だろう、群読と言うからには一人じゃなくて大勢での朗読なのだろう、観てみたい、と興味が湧いてチケットを予約。
             
 土曜日の夕方、5時半に妻と会場で待ち合わせて、予約していたチケットを受付で購入。
         

 ホールに入ると、舞台の両側に250席ほどの観客席。
 真ん中の舞台セットはドーナツ型で椅子が並べられている。その中央には中洲のような形になっていて、間に水がはってある。
     
 「この椅子に座って、みんなで順番に朗読するのだろう」くらいに思っていた。
 いよいよ開演。 
 スタートは、その椅子が横滑りして水に落ちたり、舞台から落ちたりする。それを大勢で、大騒ぎして拾い集めたり・・そんなシーン。
 「何だ、このドタバタ騒ぎは・・・」と、その時は思ったのだが、最後のトークタイムで、それは3・11の津波を表現したものだと知る。
 そんな感想を持ってしまったスタートだったのだが、いつの間にか、この群読音楽劇に引き込まれる。
     
     
 演出が素晴らしいのか、朗読するいろいろな声の組み合わせや演技が素晴らしいのか、「銀河鉄道の夜」という物語の、僕の理解では尽きることない不可思議な、そして魅力的な宮沢賢治の世界が、そこに感じさせてくれる。
 劇の内容は、原作に添った内容で、ドーナツ型の舞台と中洲の間の水は、雰囲気的なものかと思っていたら、鳥捕りの役者とか、タイタニックの乗客を演じる役者とか、舟から落ちで溺れ死ぬカムパネルラ役などが、実際にその水の中でバッシャバッシャと水飛沫をあげ、化石発掘シーンでは椅子を積み上げたり、銀河鉄道列車内に見立てた中洲での鳥捕りシーンでの椅子の上での鳥のダンスなど、それはそれは、熱演が繰り広げられる。
     
 実に素晴らしい、宮沢賢治の世界を彷彿させる素晴らしい演技に感動。
     

 この『群読音楽劇・銀河鉄道の夜』は、今年で8年目なのだそうだ。
 桜美林大学の学生だけでなく、OBでプロ劇団で活躍の人や、市民も参加している。
 今年も169名のオーディションから選ばれたキャストなのだそうだ。
 それと、ピアノとパーカッションの演奏が素晴らしかった。
 効果音楽を飛び越えて、群読の声に調和し、共鳴して、音楽劇というだけあって全体をリードしていたように思った。
 ついつい、最後のトークタイムまで。
           

 参考までに、
 この『群読音楽劇・銀河鉄道の夜』の総合プロデュース・脚本・演出は、桜美林大学教授でもある能祖將夫氏。
 音楽監督・ピアノは佐山雅弘氏で、パーカッションは「はたけやま裕」という美人女性演奏者だった。