久々に文庫本についてのおしゃべり

百田尚樹著『永遠の0講談社文庫
 モンゴル出張の少し前に、豊里実顕地のエイコさんが「読んでみる?」と貸してくれた文庫本だ。
 百田尚樹の本を僕は読んだことがない。
 でも、今年の本屋大賞に選ばれて話題となり、現在も売れ続けている百田尚樹の『海賊とよばれた男』は、いつか読んでみたいなあと思っていた。
 この『永遠の0』は、百田尚樹の小説家としてのデビュー作なのだと言う。
 そんなことで、今回のモンゴル出張にこの文庫1冊だけ携帯し、行き帰りの機内で読んだが、文庫といっても約600ページのボリュームは、フライト時間だけでは読み終わらなかった。
           
 一言で言えば、実に内容豊かな感動の小説である。
 太平洋戦争の零戦パイロットに、このような若者がいたのかと、読み進むほどに彼の真の姿、生きざまに引きずりこまれて、涙を伴う感動をもらった。
 そして、この文庫本の巻末の解説を、芸能界きっての読書家として知られ、多くのエッセー・書評も執筆し、俳優・司会者で有名だった故・児玉清氏が書いている。
 彼の端的な解説文の中から、2ヵ所を抜粋紹介して、僕の、お薦めの文庫本としたい。
 …故・児玉清氏の解説文より抜粋…
抜粋―1
 本書の中では、太平洋戦争とはどんな戦争で、どのような経過を辿ったか。また、この戦争に巻き込まれた我々日本人は、軍人は、国民は、その間に、どのように戦い、どのように生きたのか。国を護るために戦わなければならなくなった若者たちの心とは、命とは。 彼ら若者たちを戦場に送り出したエリート将校たちの心とは、といったことを作者はものの見事にわかりやすく物語の中にちりばめている。
抜粋―2
 僕は号泣するのを懸命に歯を喰いしばってこらえた。が、ダメだった。目から涙がとめどなく溢れた。(略)なんと美(うる)わしい心の持主なのか。なんと美(うる)わしい心を描く見事な作家なのか。なんと爽やかな心か。涙の流れ落ちたあと、僕の心はきれいな水で洗われたかのごとく清々しさで満たされた。


浅田次郎著『終わらざる夏』集英社文庫
 この小説もいつかは読んでみたいと思っていた小説である。
 『永遠の0』を読んで、この8月という終戦記念日の月に、もう少し、過去の太平洋戦争とはなんだったのかを考えてみたいと思う気持ちがして、昨日の帰宅途中に書店に寄って買った文庫本だ。