久々の上野・版画展を観に行く

 先週の金曜日の「男達のZoom研鑽交流会」で、カトウさんとナカハラさんが話題にしていた上野の東京都美術館で、現在、開催中の『 没後70年 吉田博展 』を観に行った。

 

◇1年ぶりの上野
 上野駅の公園口改札を出たのだが、前とは違っている。なんと移設されて初めての上野訪問だった。
 「いつ、変わったのだろう」と思ったら、昨年の3月20日だという。
 コロナ禍で、不要不急の外出自粛で、それ以降に上野には行っていなかったのだ。

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 公園口を出て、右手が国立西洋美術館で、まっすぐに進むと上野動物園となっていた。

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◇動物園の手前を右に曲がると版画展の会場の東京美術

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◇『 没後70年 吉田博展 』

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 吉田博は、福岡県久留米市で1976年に生まれ1950年に亡くなった、明治、大正、昭和に活躍した版画家だ。
 若い時は洋画に取り組み、アメリカをはじめ海外体験を通じて東西の芸術に触れ、独自の表現と技法を確立。
 木版画との出会いは、44歳という。

 日本人にしか描けない、浮世絵技法でもない、西洋の写実的な表現と日本の伝統的な版画技法の統合を目指した木版画に挑戦。
 山に登り、旅を繰り返して、丹念に微細にスケッチして、版画の下絵を描き、妥協を許すことなく彫り師と摺り師とで、水の流れや光の移ろいを繊細に描き出す。
 そのような画家である。
 「これが木版画なの?」と唸らせる作品群の展示だった。
 
 ネットで紹介されている作品を何点かアップすると、このような作品だ。

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 色彩表現が凄い。木版画とは思えないくらいだ。

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 この光の表現は何だ。

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 同じ版木を用い、摺色を替えることで、刻々と変化する大気や光を表わして、複雑な色彩表現のために重ねた摺り数の平均は30数回。

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 多いものは100回近くの摺り数である。

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 どの作品も、実際に山に登り、旅をして、その風景を繊細に写生して木版画としたものばかりだ。

 会場には、繊細に描いた写生帖も展示してあった。
 また、イギリスの故ダイアナ妃も吉田博の作品に魅了され、執務室に飾っていたと紹介されていた。