知人の映画監督が作った短編映画を鑑賞する

 いま、新宿のケイズシネマで、『短編集・さりゆくもの』が上映されている。
 5本の短編映画を集めたものなのだが、その中に、知人の小野さやかさんがメガホンを取ったドキュメンタリー『 八十八ヶ所巡礼 』が入っているので、火曜日に観に行った。

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 この短編集のコンセプトは「いなくなったあのひとが、のこしてくれたものがたり」だ。

  小野さやか監督の『 八十八ヶ所巡礼 』は、2011年、東日本大震災の後に愛媛の実家に帰省(避難)していた夏に、撮影したものだという。

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 小さい頃から見てきた故郷の風景でもある四国八十八ヶ所巡礼の旅人。
 その巡礼旅人のひとり、北海道からやってきた山田さんという64歳の男性にスポットを当てて撮影されていた。
 山田さんは、奥さんを亡くして、自分自身の片目も事故で失明、もう片方も白内障で視力が弱くなっている。
 そんな山田さんの、巡礼先の寺々でひたすら祈る姿と、親しみやすい明るしおじいちゃんの姿を撮している。
 後半では、巡礼を終えて帰った後、亡くなった山田さん家族を北海道に訪ねての、家族を通して山田さんを描いていた。
 僕は映画制作には、それほどの造詣を持ち合わせてはいないが、人生の総決算的に巡礼する男性を、素直に、背伸びもしない、特にスキャンダル的なものを求めないで捉えようとしているところが、いい映画となっていると思った。
 「さやかも、こんな映画を作るんだ?」と、監督としての小野さやかさんのそんな成長に嬉しかった。

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 それにしても、「祈る」とは、人間にとって何のための行為なのか。
 何を祈り、誰のために祈り、その行為で、何を得ることが出来るのか。
 そんなことも理屈で考えずに、ただひたすらに祈る姿に、人の美しさが滲み出ている。
 巡礼を終えた山田さんが、妻の思い出を語り「ありがとう」という言葉と、山田さんの笑顔が輝いていた。
 
小野さやか監督が高田馬場の案内所を訪ねてくれた
 映画を観たときに「今度、ゆっくり話すのに馬場に行きますね。」と言ってくれて、昨日、高田馬場の事務所を訪ねてくれた。

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 「今度は、2018年から撮ったものを入れて『八十八ヶ所巡礼』を長編にしますから・・」と言っていた。
 楽しみ。