三上 延 著『 ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ~扉子と空白の時~ 』を読む

 この三上延さんのビブリア古書堂の事件手帖 』シリーズは、既に8冊が刊行されている。
 北鎌倉駅前にひっそりとたたずむ古書店「ビブリア古書堂」。そこの店主・栞子(しおりこ)さんが主人公。古書に関して並外れた知識を持つが、極度の人見知りである美貌の古本屋店主なのだ。
 彼女が、客が持ち込む古書にまつわる謎を、豊富な知識を駆使しながら解いていく物語で実に面白い。
今回は「事件手帖Ⅱ」となって2年ぶりのシリーズ再始動。栞子さんも母親となって、娘・扉子が登場するビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ~扉子と空白の時~ 』だ。

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 第1巻から僕はハマって、続編が出るたびに読んでいる。
 2012年には、新刊を扱う書店員達が投票して決まる「本屋大賞」にノミネートされた人気小説なのだが、なぜ、僕がハマったのか。
 それは、僕の書籍に対する知識欲を適度に刺激しながら、ワクワクさせる謎解きストーリーが展開するからだと思う。
 著者の三上延さんは、どうしてこんなにも古書についての知識が豊富なのかと驚かされる。経歴をみると古書店で働いたことがあるというが、それにしても並の古書知識ではない。
 物語の中に出てくる古書も様々だ。
 第一巻では、夏目漱石漱石全集・新書版』や、小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』や太宰治『 晩年』などから始まり、その後の続編では、宮澤賢治春と修羅』や手塚治虫ブラックジャック』や寺山修司『われに5月を』、さらに太宰治の『走れメロス』だったり、江戸川乱歩の数々の作品と幅広く扱っている。
 今回の『 ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ~扉子と空白の時~ 』では、有名な『犬神家の一族』等を書いた推理作家・横溝正史の幻の長編と言われる『雪割草』を巡る謎解きだった。
 
 蛇足になるが、この小説はTVドラマ化もされて、主人公の栞子さんを剛力彩芽が演じていた。それを観ていたために、小説では長い黒髪の主人公なのに、どうしてもショートカットの剛力彩芽の顔を思い出しながら読んでしまう。