是枝裕和監督が書いた小説『万引き家族』を読む

 映画『万引き家族』は、昨年、カンヌ国際映画祭で最高賞であるパルム・ドールを獲得し、6月に公開されて話題となった映画だ。
 是枝裕和監督の映画なので、公開中に観ようと思っていながら、僕はその機会を逃していた。
 その映画『万引き家族』が、現在、高田馬場の映画館「早稲田松竹」で上映されているのを、通りかかって偶然知って、昨日の夕方、仕事を早めに終えて観た。

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 整理券を配るほどの人混みだったが、何とか鑑賞できた。


 観ての感想は、さすが是枝裕和監督が「家族や社会について構想10年近くをかけて考え作り上げた」という内容に、言葉にならないほど衝撃を受けてしまった。
 

 家族とは何か。血の繋がりとは何か。家族の絆とは何か。


 血の繋がった家族から捨てられた者同士、互いに拾い拾われてつくった家族。
 そこには、血の繋がった関係性以上の人間として生きる絆が生まれて、反社会的なルールを行いながらも、人が人を愛する心、愛おしさがわき出る気持ち、血が繋がっているとか、損得勘定とか、そんな繋がりをも問題にしない、崇高な人間としての本質的なものを感じさせる映画だった。

 

 僕は、映画『万引き家族』を観て、もっと是枝裕和監督が、この映画で語りたかったものがあるのではないか、僕は、それをどこまで感じただろうか、どこまで受け止めることができただろうかと不安に駆られて、帰りに書店に寄って、先月刊行された是枝裕和監督が書いた小説『万引き家族』を買う。

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 昨夜は、寝るのも惜しんで、映画の感動をなぞりながら読んでしまった。


 先ほど読み終わって思うのは、映画の何倍もの感動をもらったなということ。
 その感動を、また十分に消化しきれずに、僕はいま、余韻に浸りながら反芻している。
 物語の展開と、登場人物の心の揺らぎと、是枝裕和監督の深い深いメッセージに、ちょっと戸惑いながら・・・。

 

 映画『万引き家族』をすでに観た人も、観ていない人も、ぜひ、小説『万引き家族』はお薦め一冊である。