出張の移動の車内で読んだのが、宮部みゆきの『希望荘』という文庫。
宮部みゆきには、推理小説〝杉村三郎シリーズ 〟というのがある。
主人公の杉村三郎は、児童書専門の出版社の編集者から、日本屈指の大グループ企業会長の娘婿となり、同グループの広報室に転職するという逆玉の輿的男。
しかし、その生活は上手くいかず娘が1人いながら離婚して、出身地の山梨に帰省。
そこで地元の産直グループの直営店で働いているなかで知り合った調査会社の所長の勧めで再上京して探偵業を営むことになる。
そんな経緯で私立探偵となった杉村三郎は、温和な性格で、何らかの問題を抱え困った人物に対しては、損得を度外視してどこまでも親身に相談に乗り、事件を追求し解決していくのだ。
今回読んだ文庫『希望荘』は,、シリーズ第4弾の4つの短編集。
その短編作品4つの物語を、収録順に簡単に記すと、
最初の『聖域』は、亡くなったはずの老婆を見かけたという、その真相を調査する事務所初仕事。
この文庫のタイトルにもなっている2番目の『希望荘』は、亡父が「昔、人を殺した」という告白の真偽を調査する仕事。
次の『砂男』は、事務所開設前の故郷にいた時に関わった人気蕎麦屋の主人の突然の浮気駆け落ち失踪。その行方と真相を、彼の過去を調査しながら解明していく内容。
最後の『二重身』は、アンティーク雑貨の店主が、買い付けに出掛けた先で東日本大震災にあって消息が途絶えたという調査。実は大震災の被災を装っての殺人事件だったという内容。
4作品共に、宮部みゆきの推理展開を楽しむことができる短編集だった。